トリッティーの壁から手



それは胸につけた無線で、いつまでたっても帰ってこない二人の警官に対する呼び掛けだった。



しかし状況がどうも理解できず、何故寝ていたのか、誰に二人ともやられたのか、いくら夜風に吹かれても答えは飛んでいっていた。



「いつつ……」



いいよどんでいる時に同僚が目を覚ました。




寝起きの顔にヨダレをくっつけて、あれ?と一言


「少年は?」












「そうだ、チャールズ・ブレインだ」



無線でのやり取りに機械音が何度も甲高く、夜の町に不快音をかき鳴らした。





石畳に転がった小さな花は風に転がり



建物の影に隠れた袋はカサカサと音を鳴らすばかりだ。



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