トリッティーの壁から手
いくら走っただろう……?
路地はもう真っ暗でこれ以上進み続けても迷うだけだと思った僕は広場に出ていた。
街頭が歩く僕をぼんやりうつしだす。
当たり前のように人の姿は見えない、広場の真ん中ほどまで歩くと先程出てきた路地は薄気味悪く、闇に先が見えなかった。
コートが熱い、手に汗を握っていたみたいで気持ちが悪いことに気づいた。
でもそれより袋の中を確認する、うん、大丈夫。
ホッとするとコートに手を擦り付けてまた歩きだした。
さすがにここまでくれば大丈夫だろう……
早く道路を越えてあそこに……
僕はブーツを鳴らして歩きだした、
息を整えつつ、暗くなった町に自然と警戒しながら。
しかし後ろに聞こえた陽気声、人物など、僕は今の今まで気づかなかった。
「ちょっと君」
そいつはシルクハットに花なんか咲かせて、ツバをちょいっとつまんでいうのだ。