月夜の影
「ならいいけど」
私は椅子に座った。
「…で?警察のほうは?」
「かなり難航してるみたいだな。目撃情報も何もなくて。
なんせ、凶器もないし指紋もない。
おまけに髪の毛一本さえ落ちていない」
「ふっ…当たり前よ。情報なんて一切ないわ」
見られるわけがない。
あそこには街灯も、交番も、防犯カメラさえないわ。
情報なんてない。
誰かが口外するんじゃないかって?
無理ね。
だって、それも条件に入ってるもの。
「警察などに話すようなことがあったら、あなたが逮捕される」
ってね。