月夜の影
深夜0時。

真紀子はベッドに寝転んだ。

私も用意してもらった布団にもぐった。

「雅彦さんはね、会社でもモテモテで。
でも、奥さん一途だったの」

一途…ね。
でも真紀子と付き合ってる以上、一途でもなんでもない。

「あの…」

真紀子からの返事はなかった。

ふと真紀子の顔を見ると寝ていた。

あたしは少しだけ目を閉じた。


ほんの一瞬だけ、目を閉じた。

目を開けると見えたのはキラリと光る銀色のもの。

真紀子は私の顔の前にそれを向けた。

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