防衛要塞都市
『確認に向かいます。』


カシワギの腰に取り付けられた無線機から、声が響く。


それと同時に、近くに停車していたジープが一台、低いエンジン音と共に発進した。


ざわめきが、辺りを支配し始める。


「結果はどうだろうか。」


「まさか銃を蹴り上げるとはな。」


発進したジープ、1人の兵士がそれから降り、すぐ近くの木の板へと駆け足で近寄った。


木の板は黒のペンキで二重丸が描かれただけの、簡単な標的だった。


その兵士は、板を数秒凝視して、ジープに戻った。


「どうですか?」


カシワギは、短く、丁寧に事の次第を尋ねた。


そして、無線機からは不思議そうな声で返答が聞こえる。


「それが……、穴が1つだけしか確認できませんでした。」


周りから期待されたセイルの結果がこれである。


彼が拍子抜けするのにも無理は無かったが、


「了解しました。第二標的の方の確認に向かってください。」


カシワギは、ただ微笑んで返答するばかりだった。
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