防衛要塞都市
―――


「で、二つ目の的にも穴は一つだけだった、と?」


女性が、半ば呆れたような声で言い放った。


カールされたロングの茶髪を忙しなく弄る彼女は、威風堂々と足を組み、椅子に腰掛けている。


同じく迷彩の制服を着たリーが、その前で気を付けの状態で突っ立っていた。


司令室内では、コンピュータが静かに音を立てるだけ、明かりはスクリーンの光だけだ。


「は、はい……でもどうしてそうだと……?」


頭の上にクエスチョンマークを浮かべて尋ねるリーに、女性は目線を髪からスクリーンへと移す。


月明かりだけの薄暗い要塞都市が大きく表示されているだけの、静かな映像がそこには横たわっていた。


「長年の勘ってヤツさね。というか、そうなってくると答えも絞られるってもんでしょうよ。」


「結局は勘ではないのですね、ヴィンヤード少佐。」


ヴィンヤード少佐。


三十代前半、この時少尉の肩書きを持ったリーにそう呼ばれた女性は、自分の髪を弄る手を止めた。
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