防衛要塞都市
大通り以外はとても小さな道で、車一台がやっと通れそうな程だった。


そのどれもが、ビルに辿り着く前には自然に大通りへと繋がっている。


まるで、細い道が大通りに吸い寄せられているかのようだった。







「どうしてこういう造りになってるか、わかるか?」


大きなスクリーンがあり、その前に並ぶ横長机に腰をかけた、軍服姿の男性が言った。


髪は黒いショートカットで、20代後半ほどの顔つき、眼鏡を通して茶色がかった瞳がスクリーンに写る街の景色を見据えていた。


管制塔のような部屋では、スクリーンの画面が、暗闇の中で不気味に光っていた。


「ハッ。敵を自然に大通りへとおびき寄せるための造りかと。」


もう一人、軍服を着て、それと同じ迷彩柄の軍帽を被った青年がスクリーンの前に立っていた。


奇麗に揃った金髪はショートに切られ、ブルーの瞳が印象的な青年だった。


「ご名答。中々できるじゃないか、上等兵。」


「光栄であります。」


セイルと名乗った若い声の青年が、敬礼をしながらハキハキとした声で言った。


「……そんなに堅くならないでくれないか?」


「ですが……。」


「そっちが堅いと、こっちまで堅くなっちゃうんだよね。」


男は、堅さのない声で言った。
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