防衛要塞都市
「どうしたのよ？初めて獲物を仕留めたんだから、もっと嬉しがっても良いんじゃない？」


ヴィンヤードが、口だけを動かして彼に尋ねる。


それに答える彼の額は、未だに下を見つめたまま。


「なんというか、色々な感情が頭に出てきまして。」


「・・・。」


「父と同じ位置に立った喜び、人を初めて殺した悲しみ、初めての実践で初弾を命中させた達成感。今、それらが私の頭を支配しております。」


「甘ったれてんじゃないわよ。」


彼女は口調を厳しくして、冷たく言い放った。


「そんな下らない感情、今すぐにでも捨てなさい。今は作戦中よ？そんなもの、作戦の後にいくらでも考えれば良いわ。」


言い終えた瞬間、ヴィンヤードは2発の弾丸を発砲する。


目線をスコープからセイルの両目へと移動させて、素早く装填作業に入った。


「ほら、集中集中。」


弾装を銃に取り付けるカチャという音と共に、彼女の言葉と微笑みと共に、


『南東、残り4名。』


ルイーズが彼女の言葉に説得力を与えた。
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表紙・目次

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