ご主人様のメイド
あたしは彼の手から手を引いて、俯いたまま彼の言葉を待った。


「死にたいの?」

少し小さな…でもしっかりした声にあたし頷く。

「…話して。どうして…死にたいのか。ゆっくり、ゆっくりでいいから」


ふと彼の声色が泣きそうに聞こえたからあたしは顔を上げて彼を見た。


彼は切なそうに眉を寄せてあたしを見つめていた。





あたしはゆっくり、お父さんの事、
親戚の家で聞いた事、
誰にも必要とされないあたしはもう生きる意味すらない事、
全部、全部書いた。


< 11 / 19 >

この作品をシェア

pagetop