ご主人様のメイド
彼があたしの頭を撫でる。




優しくなでる彼の手はあたしにお父さんを思い出させた。



お父さんは優しくて、よく笑う、穏やかな人だった。


でも昔から病気がちで、何度も入退院を繰り返していた。


だからあたしが高校に行かないで働いた。


養子のあたしをまるで本物の娘のように可愛がってくれたお父さんが…

大好きで大切で…。



お父さんが病気で死んじゃってあたしは1人で生きてきたけど、

親戚の人達はお父さんの養子のあたしを厄介者扱いしてた。


だから、あたしは1人ぼっちで。


寂しくて、お父さんに会いたくて…。






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