ご主人様のメイド

｢泣いていいんだよ｣


その声に我慢していた涙がこぼれた。



｢生きる意味が分からないなら探せばいい。今までがお父さんの為に生きたなら、今度は自分の為に生きればいい｣


自分の…為に？


あたしは昔からあまり欲がない子供だった。

自分が喜ぶことよりも、友達やお父さんが喜ぶことが嬉しく感じた。

だから急に自分の為にといわれても…ピンとこないし…

それに、

あたしは誰かに必要とされたい。

必要とされていないと不安になるんだ。

だって昔ママとパパがあたしを捨てた時ー

｢なんの役にもたたないいらない子｣って言ったから。

言ったから。


役にたたないとまた捨てられちゃうから……ッ。