ご主人様のメイド
メイド…?


「自分で言うのもあれなんだけど僕の家、お金持ちなんだ」

どうりで品があると思った…。

「でね、最近僕専任のメイドが寿退社しちゃって、困ってたところなんだ」

ちょっぴり意地悪に口元を緩ませて、あたしの耳元に顔を寄せた。


「君は寝床とお金が手に入るし、僕は助かる。利害の一致だと思わない?」

「~っっ」

そんな甘い声で囁かないでー!!

あたしは赤い顔を隠すように視線を下に移して、ペンを走らせる。
"あたしなんかに出来るでしょうか…?"

「もちろん。君がやってくれると僕、嬉しいんだけどな…。ダメ?」


ちょっぴりかすれた王子様みたいな声で囁かれ、あたしはもう心臓が爆発しそうだ。





あたしは迷わず書いた。

"あたしなんかで良かったら…お願いします"




こうして、あたしはご主人様のメイドになった訳であります。
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