ご主人様のメイド
居心地が悪いのであたしは小さな公園に入りベンチに座った。

空を見上げてぼんやり考える。

死に場所はどうしよっかな…。


どのくらいたっただろうか。


足音が近づく音がして、あたしは上げていた首を戻してまっすぐ前を見た。


足音の正体は傘を持ったこの男性のようだ。


男性はあたしの前にくると傘を差し出して優しく微笑んだ。


「カゼ、ひいちゃうよ?」


まるで、おとぎ話の王子様みたいな人だと思った。

カッコ良くセットさせている金髪の髪の毛。

整った顔立ち。

高い身長に、カッコ良いのにどこか上品な服装。





あたしはしばらくそんな彼に見とれてしまっていたが慌てて首を振った。

彼は首を傾げる。
傾げた首からサラリと動く短めの髪の毛にすらまた目を奪われそうだ。


「どうしたの?」

しゃがみこんであたしの目線に合わせてくれた彼にあたしは首に手をやり目をつぶって首を振ってみせた。

「?」

あたしは声が出ません。って言うのを伝えたかったんだけど、どうやら伝わっていないようだ。

あたしは地面に視線を落とし棒きれを拾うと、地面に文字を書いた。

土がぬかるんでて書きにくいけど、多分読めるハズ。

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