モウ スキジャナイ
電車
あのとき
あのときまで望が怒ったところを見たことがなかった。
一ヶ月前、いつものように望と高校の帰りに電車に乗った。すごく混んでいて、私たちに少し距離ができた。
そのときになにかがスカートの上で動いていた。
もしかしてと思ったときにはスカートの中に誰かの手が入っていった。
私は怖くて怖くて仕方なかった。
助けてほしくて望をみた。
望はニコッと微笑んだ。口を『大丈夫』と動かした。
なにが大丈夫なものかと思ったけど私は何も言わなかった。
やがて駅につき、人が動いて望にすがりついた。さっきの人はもういなかった。
「どうしたの?」
と望に言われたけど人の目が気になって何もいえなかった。
そして私の最寄の駅におりていつも寄る公園にいった。
そこで私はあのことを望に話した。
みるみるうちに望の顔が赤くなった。
「なんであのとき言わなかったんだ!」
望が怒鳴ったのを私は付き合って初めて聞いた。
「…怖くて…それに…望…『大丈夫』って…」
「あれは俺と裕美子が離れたから不安そうな顔をしていると思ったんだ!まさかあのときにそんなことになっているだなんて思ってない!!」
私は望が慰めてくれると思っていた。
望はいつも優しい。
だから怒鳴るだなんて思わなかった。
あの痴漢よりも今のことの方が信じられなかった。
あのときまで望が怒ったところを見たことがなかった。
一ヶ月前、いつものように望と高校の帰りに電車に乗った。すごく混んでいて、私たちに少し距離ができた。
そのときになにかがスカートの上で動いていた。
もしかしてと思ったときにはスカートの中に誰かの手が入っていった。
私は怖くて怖くて仕方なかった。
助けてほしくて望をみた。
望はニコッと微笑んだ。口を『大丈夫』と動かした。
なにが大丈夫なものかと思ったけど私は何も言わなかった。
やがて駅につき、人が動いて望にすがりついた。さっきの人はもういなかった。
「どうしたの?」
と望に言われたけど人の目が気になって何もいえなかった。
そして私の最寄の駅におりていつも寄る公園にいった。
そこで私はあのことを望に話した。
みるみるうちに望の顔が赤くなった。
「なんであのとき言わなかったんだ!」
望が怒鳴ったのを私は付き合って初めて聞いた。
「…怖くて…それに…望…『大丈夫』って…」
「あれは俺と裕美子が離れたから不安そうな顔をしていると思ったんだ!まさかあのときにそんなことになっているだなんて思ってない!!」
私は望が慰めてくれると思っていた。
望はいつも優しい。
だから怒鳴るだなんて思わなかった。
あの痴漢よりも今のことの方が信じられなかった。