モウ スキジャナイ

考える

好きじゃなくなった瞬間から望といるのが辛くなった。

望は一つ上の先輩だからそんなに顔をあわせないが、部活は一緒に陸上部に入っているので逃れられなかった。

だが電車に一緒に乗ってくれるのが悔しいが有り難かった。
痴漢にあったときは運悪く部活がなくラッシュにあってしまった。
部活があるときはそれほど混んでいないが、ほんとにあれから電車が怖かった。
望もあれから気をつけているようで私からピッタリ寄り添って離れなかった。
有り難かった。

私はやっぱりこの人が好きかもしれないと思いなおしたりした。

けれど望の怒った顔がなかなか忘れられなかった。

腹ただしくて
悔しくて

私は別れを決めた。

いざ言い出すときはほんとに怖かった。

手が震えた。

そしてこの暗い道の帰り道を一人で歩くことを考えて怖かった。
部活が終わってから言ったらよかったとかでも電車が怖いとか電車降りてから言えばよかったとか自分勝手なことを考えた。






そして今、彼は泣いていた。

あのときを悔いて泣いていた。
< 5 / 39 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop