モウ スキジャナイ
「ごめんな…俺が悪かった…」

私はびっくりした。
次の言葉を待った。

「俺…お前を触ったやつが憎くて…腹がたって…殺したくて…お前に…当たった…」


私は絶句した。
私は被害者なのに…

「お前にあたるのは…間違ってるよな…ごめんな…ごめんな…」

望がだきしめようとしたのを私はさけた。

私はあの事件から大好きなスカートをはかなくなった。私服高校だから毎日のオシャレが楽しみだったのに。

「無理…もう無理…


私は声を搾り出した。

「いやだ!」

はっきりと望が言った。

「いかないで裕美子…!」

すがるような目だ。

私は早く別れたくて仕方なかった。

「わかって…望…」

望は私の手を掴んで言った。

「一度の失敗じゃないか…どうして許してくれないんだ…」



一度

たった一度

そう

たった一度

私は少し悩んだ。
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