ペットだなんて、言わないで


「ただいま」



 家に帰ると、待っていましたとばかりにハルが飛びついてきた。

 なんか……安心した。

 ハルと触れ合っているこの時間が、貴重な気がする。


 いつもと変わらないこの部屋も、間取りも、家具も、においも……ハルが居るこの瞬間も……宝物みたいだ。


「いい子で待ってたよー!」


 ――ハルが楽しそうだと、俺も嬉しい。

 空に浮かぶきれいな満月を見ながら、そんな事を思っていた。


< 264 / 379 >

この作品をシェア

pagetop