ペットだなんて、言わないで

「行ってやれよ。俺このまま美夏んとこ行く用事あったし」


 それが嘘か本当かは分からなかったけど……嘘だとしても、その気持ちが嬉しかった。

 先輩に気を遣わせるなんて、失格だ。


「すいま……せん。たこ焼きパーティー、楽しみにしてます」

「おう! また明日な~」


 笑顔で手を振って去る健治さんの後姿を、俺は見えなくなるまで見送った。


 そして完全に見えなくなった後、俺は引き返す。


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