ペットだなんて、言わないで

「へー。こっちも道あるんだ。……裏道ってのも悪くないよな」


 普段は通らない道だったので、奥に細道がある事に初めて気付き、そのまま向かう。



 建物に挟まれたその道は薄暗く、昼間だというのに心細さを与えるので少し早歩きになってしまう。


「怖くねぇし!」


 自分に言い聞かせるようにしていたが、足を止めた。



 ――微かだが、何かの泣き声が聞こえる。



「やめてくれよ頼むから」




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