マンボウの住む家

食事中は食事に集中したい派の俺は、適当に相槌を打ちながらポテトを口に運んでいた。


さて、いい感じに時間も潰せたからそろそろ幼稚園へ向かうとしよう。


マックを出て幼稚園まで徒歩で向かう。


大体ここから二十分の距離。地味に遠い。


流石に海斗も話のネタが尽きたのか、俺の隣で口笛を吹いていた。


話のネタがなくなると、海斗は口笛を吹く癖がある。


『無言』というものが俺は心底苦手だ。


あの互いに相手との距離を探る感じの独特な間が本当に苦手なのだ。


けれどそれは、距離感が未だ掴めていない人と二人っきりになった時限定なわけで。


―――そんな気を使わなくてもいいのに。


こういう地味な優しさを出来る人間なのだ。こいつは。


明るいメロディーが天に昇る。


< 112 / 154 >

この作品をシェア

pagetop