マンボウの住む家

いや違う。外れてしまったというのが正しいだろう。


海斗の蹴りが男の肘に当たったのだ。


いつになく真剣な表情。


え、なにこの展開? マンボウいないのに超展開だよ?


困惑する俺を余所に、今度は海斗が俺の腕を掴み駆け出した。


「逃げるぞ!」


いきなり走り出すから転げそうになるが、しっかり踏ん張って転倒は免れた。


釣られて走る。


背後から英語の怒声が聞こえてくる。


止まったらいけない!


第六感がそう告げる。


屈強な外国人が追ってくるのは物凄く怖いけど、けどそれ以上に今まで見たことがない海斗の横顔に恐怖を感じた。

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