マンボウの住む家

刹那、室内に重音が響き渡った。


部屋の入り口にあったはずのドアが外れ、辺りに粉塵が舞った。


逆光で見えないが、シーシャパードの秘密基地に来れる人間など限られている。


ましてドアを蹴破る輩など。


「馬鹿! なぜ来た!」


帰って来るはずなどない言葉。それでも叫ばずにはいられない。


なぜ来た。なぜ来たんだ宙……!




「ははーん。ここがシーシャパードの秘密基地ねぇ」


……ん、あれ?


甲高い声。シルエットも男のそれとはちと違う。


あれは……女の子?


ドアを蹴破ったのは、黒光りした漆黒の髪を一本に結わった可憐な女の子だった。
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