マンボウの住む家
まあ、そりゃそうだろうな。
じゃなきゃ、わざわざ現世に戻ってきやしないだろう。
「本当は宙が倒れた時に行きたかったけど、色々手続きが必要でね。数か月もかかっちゃったし、降りてくる過程でマンボウの魂と混ざっちゃってこうなっちゃったの」
マンボウは続ける。
「声、まだ戻らないのね」
過度の疲労とストレスの爪痕は、まだ俺の身体を蝕んでいる。
ぶっ倒れて数カ月経ったが、俺の声はまだ戻らないでいた。
先天性のものではないから時期に戻ると医者には言われたが、未だにその兆しは見られない。
俺は頷きディプレイに文字を写す。
『でも声を失って良かったかもしれない』
強がりなんかじゃなく、俺の本心。
『そのおかげで、父さんが元に戻ったから』