マンボウの住む家

そうか、そろそろ……。


「正体がバレたら、天界に戻ることになってるの。まあ元々、結構無理して降りてきたから五日から一週間近く経ったら強制的に召されることになってたんだけどね」


そんなこったろうと思ったよ。


『芽衣には正体をバラすのか?』


「まさか。ここで私が現れたら大変なことになるでしょ?」


母さんが亡くなった時、芽衣は三日三晩泣きじゃくり、一週間もの間ショックでほとんど食べ物を口にすることが出来なかった。


今でも時々、母さんのことを思い出しては夜泣きをしているくらいだ。


もしマンボウが母さんだと知ったら……あまり想像したくない。


「宙にこれ以上迷惑かけられないもんね。芽衣はまだ小さいから、大きくなったら私のことなんてすぐに忘れるわ。だから黙っておいて」


わかったと言う風に頷く。


子供の記憶というのは曖昧だ。時が経てば、魔法が使えるマンボウとの生活など徐々に薄れ忘れてしまう。
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