マンボウの住む家
後はこのマンボウに外に出るなと伝えればいいだけだ。
「安心して、私も迂闊に外へでて騒がれるのは嫌だから」
伝えなくても伝わったようだ。
人の心を読むのはやめていただきたいが、余計な手間が省けて助かった。
俺も早く学校に行かないと遅刻してしまう。
「あ、洗いものは私がやっておくから、宙は学校に行ってていいわよ」
当り前だ。居候なのだからこれくらいして当然である。
「あら酷い。マンボウ使いの荒い男は嫌われるわよ」
むしろマンボウに嫌われるなら本望だ。
荷物を手にして玄関を後にする。
「いってらっしゃい」というマンボウの言葉を背に受けて、俺は学校へと向かう。
いってらっしゃいだなんて、最後に言われたのはいつだっけ?