マンボウの住む家
自然と目が腹部へと移る。
海斗の言うとおり、ブレザーのボタンをかけ間違えていた。
というか、このまま学校まで通学してたのか俺。恥ずかしすぎる。
急いでボタンを元の位置にかけ直す。
その様子を海斗はさも面白そうにニタニタしながら静観していた。
「お前がボタンのかけ間違いなんて初歩的ミスをするなんて、もしかして芽衣ちゃん絡みか?」
本当にこいつは感が鋭いというかなんというか。
腐れ縁とは末恐ろしいものだ。
「なになに? 芽衣ちゃんに彼氏が出来たとか? それとも己の欲望に勝てず、ついに枷が外れて芽衣ちゃんを―――」
その続きは、頬への平手打ちで黙らした。
素晴らしい音が響き、クラス中の注目の視線が俺たちに注がれる。
静寂な教室。第一声は、赤く染まり始めた左頬を押さえる海斗。