マンボウの住む家

「ひ、酷いわ! DVは犯罪なんだからね!」


クスクスと周りから笑い声がこぼれる。


離婚よ! などとほざく海斗を今一度黙らせようと腕を振り上げると、ごめんなさいと額を俺のテーブルにくっつけた。


わかればいいのだ。わかれば。


「たくっ、芽衣ちゃん絡みになるとホント容赦ないよなお前は」


朝っぱらから変なことを言うお前が悪い。


そう暗に込めた視線を送りつけると、海斗は困ったように苦笑した。


「んで、マジでどうしたんだよ。俺でよければ相談に乗るぜぇ?」


優しい親友を演じているが、この海斗という男は人様の訳あり事情を詮索するのが三度の飯より大好きなマスコミ気質の持ち主なのだ。


この学校のあらゆる噂はほぼ手中に収めていると断言しているが、リアルに集めている少しというかかなり痛い男なのである。


とはいえ噂を集めたところでなにかに還元されるわけもなく、ほとんどが無駄な知識として脳裏に刻まれている。

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