マンボウの住む家
熱いので盆に置いて慎重に階段を上る。
一段一段ゆっくり上がっていくと、ドアが半分開いている俺の部屋から一人と一匹の会話が耳に流れ込んできた。
「宙と仲良くしてくれてありがとね」
マンボウの声?
歩みを止めて、二人の会話を盗み聞く。
「ほら、宙ってかなり変わってるじゃない? あの子と付き合うのは大変でしょ?」
おい、なに俺の保護者ぶってんだよクソ魚類が。
思わずホットカルピスをマンボウの頭上にぶちまかしたくなったが、ここは堪えた。偉いぞ俺。
「そうっすか? 普通にイイ奴っすよ。テスト前にノート貸してくれたりするし」
それってただの都合のいい奴みたいな言い方だな、おい。
海斗らしい回答だな。と、小さく溜息をついてみた。
「なんかマンボウって、お母さんみたいっすね」