マンボウの住む家
なんとも言い難い俺の視線に気がついたのか、マンボウがこちらを向いた。
テーブルに並ぶオカズたちを一瞥すると、思い出したように「ああ」と声を漏らした。
「そういえば今日は水族館に行くのよね。幼稚園をサボるなんて、宙はとんでもない不良少年ね!」
開口一番突っ掛かってきたが、シカトすることに決めた。
だって忙しいんだもん。魚類に構ってやれるかってんだ。
「……なんか突っ込んでよ、寂しいじゃない。『ズル休みくらい誰でも一度はするだろう』とか『ケータイ小説(笑)だったら仕方ない』とかさあ?」
その世界観を崩壊しかねない発言は慎むべきだマンボウ。
俺も人のこと、間違えた。俺も魚のこと言えないけど。
そういや、こいつ本当にどうするか。一人で留守番だな。
「もちろん私も付いて行くわよ。だって家族じゃない」
―――はぁ?