マンボウの住む家

そのままサメに喰われてしまえばいいのに。サメ様の血となり肉となってしまえばいいのに。


と、ガラス一枚隔てた向こうにいるネコサメさんに念波を送ってみたが、やはり無理であった。残念。


代わりにマンボウが俺の念波を感じ取ってしまったようで、急いでこちらに戻ってきた。


瞬間移動とか、まじファンタジーだなおい。


「あー楽しかった。ねえ、イルカのショーっていつやるの?」


マンボウがそんなことを言ってきたので、俺は水族館の無料パンフレットを差し出した。


「今日はイルカさんお休みなんだって」


芽衣が寂しそうにそう告げる。


イルカのショーは基本的に休日と祝日しかやっていない。


今日は平日。つまり今日はイルカのショーはやらないのだ。


「まじで!? 私すごく楽しみにしてたのに……」


「だから今日はペンギンさんで我慢するの。マンちゃんもペンギンさんで我慢しよう?」


五歳児に慰められるマンボウ。
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