蜜林檎 *Ⅰ*
「本当ですね
 でも、イツキさんは
 大人で紳士だから
 大丈夫です」
 
「紳士ね~」

車は、薄暗い道を走り出す。

「ドライブ
 好きなんですよね
 いつも、こうして一人で
 走っているんですか?」

運転をする樹の真剣な
眼差しに見惚れる杏。

「いつも一人って訳じゃ
 ないけど
 一人になりたい時や
 考え事をしている時は
 一人で、かっ飛ばしてる
 ことが多いかな」

「そうですか、イツキさんも
 考え事するんですね」

「いちを、これでも
 人間だから・・・
 俺の話は
 この辺で終わりにして
 今度は君の事を聞かせてよ」

「私の事ですか

 知りたいですか?」

「知りたいよ・・・」
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