蜜林檎 *Ⅰ*
樹は離れた席から、杏に
優しい言葉をかける。

「杏ちゃん
 食べたい物あるなら
 言ってくれていいから」

今まで一緒に飲んでいる
女性の事を気にかけて
こんな風に言葉をかける事など
無かった樹の、杏に対する態度
に嫉妬心を持った鏡子は
冷たい目線で杏を見つめた。

「はい、もう
 お腹いっぱいです」

「お酒は?」

「ありがとうございます
 でも、もう飲めません
 私、お酒弱いので・・・」

すると、朔夜が気を使って
樹がまだ口を付けていない
ジュースを取り、杏に渡した。

「ありがとうございます」
 
メンバーの皆が杏を気にかけ
彼女に優しく接する事に数人
いる他の女性達も面白くない
顔をしている。

すると、部屋のドアが開き
そこに遅れて一人の女性が
現れる。
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