蜜林檎 *Ⅰ*
夕方、二人はホテルを出て
表に回してもらった車に
乗り込み、外食へと向かう。
 
杏の他愛のない話を、樹が
聞いている。
 
美味しいディナーを食べ
楽しい時間は過ぎていく。

そして川辺の傍に
車は停車した。

「今日は
 ありがとうございました
 夕食も
 とても美味しかったです」

「ほんとう、おいしかったね
 また食べにいこう」

楽しい時間が過ぎるのは
あっという間で

樹と別れの時。
 
杏は、とても寂しい気持ちで
いっぱいになる。
 
シートベルトを外し、樹を
見つめながら、杏は自分の
発した言葉を思い出し後悔
するのだった。

どうして、あんな事を言って
しまったんだろう・・・

『私は誰とも
 付き合うつもりは無い
 ・・・』
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