蜜林檎 *Ⅰ*
口答えせずに素直に謝る杏に
どうもしっくりこない雅也は
簡単に許してしまう。

「今日はどうした
 えらく素直じゃないか
 反省してるんだな
 もう部屋で休みなさい」

「お父さん
 心配かけてごめんなさい
 これからは、ちゃんと
 連絡するから」

「わかれば、よろしい」

杏は部屋に戻り、樹との間
に、起こった出来事を
思い出していた。
 
すると、メールを知らせる
受信音が響く。

そのメールは、樹からだった。

《お姉さんや、家族のみんなと
 ちゃんと話せた?
 今日は、ありがとう
 おやすみ》

駐車場に車を止めて降りる
樹の携帯がなる。

《大丈夫です
 心配してくれてありがとう
 お仕事がんばってください》
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