蜜林檎 *Ⅰ*
いつものように、駐車場から
裏口を通ってマンション内に
入った樹は、鍵を手に郵便物
を取る為にポストへと向かう。

その時、マンションのドアの外
に、一人の女性が立っている事
に気がついた。

その女性は、まりあだった。

慌てて、マンションのドアを
開け、まりあの傍へ近寄る樹。

「マリア、どうした・・・」

「ちょっと、近くまで来たから
 イッキ、いるかな~って」

お酒に酔っている、まりあの足
が、ふらついて樹に抱きつく。

「ごめん」

その瞬間を、同じマンションに
住む違うタレントの
スキャンダルを狙っていた
雑誌記者に撮られてしまう。

「酔ってるのか
 
 さあ、入って」

酔っている彼女の肩を抱いて
マンション内に入り
 
並んでエレベーターに
乗り込む姿も
写真に撮られてしまう。
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