蜜林檎 *Ⅰ*
樹の室内のソファーに座る
まりあは、何度も樹に
謝るのだった。

「もういいよ
 ほら、水飲んで」

差し出されたペットボトルを
受け取ろうとした彼女は急に
立ち上がる。

ペットボトルは、落下し
床に音を立てて転がっていく。
 
まりあは油断した樹をソファー
に押し倒し彼に熱いキスをした
 
そして、樹のシャツのボタンを
外す。

「マリア・・・ちょっと」

「イッキ
 この間みたいにしよう・・」

冷めた眼差しで、首を左右に
振る樹の姿を見た、まりあは
彼から離れた。

「後で送っていくよ」

「泊めてくれないんだね
 つまんないの」

そう言った後、彼女は床に
転がったペットボトルを拾い
蓋を開けて、勢いよく
飲むのだった。
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