蜜林檎 *Ⅰ*
煙草を銜える真野に代わって
リーダーである千里が真剣な
眼差しで、樹に問う。 

「そうか、率直に聞くが
 また、マリアと元の鞘に
 もどったのか?」

「いや、彼女は一時間程休んで
 タクシーで帰ったよ」

昨夜の出来事を樹の口から確認
した上で、真野は今から雑誌社
へ差し止めの要望に出向く事に
なる。

「まっ、掲載されても
 昔のようなことにはならない
 だろうから、心配はするな
 これを期に彼女と結婚しても
 構わないぞ
 
 今まで独身を貫いて来たんだ
 から、いい加減
 ファンも許してくれるさ」

「そうだよ
 今まで、ずっと一人きりで
 生きてきたイッキの幸せを
 みんなが願ってる」

樹に、そう語りかける二人の
熱い目線に、彼は正直に答えた

「俺、今、つきあってる
 女性(ヒト)がいるんだ
 ・・・」
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