蜜林檎 *Ⅰ*
事実では無い為、雑誌に掲載
されても構わないけれど
追加公演を控えている、今
ファンを動揺させる行為は
避けたかった。

「本当、ごめん・・・」

「イッキは、何も悪く無い
 でしょう
 スクープを狙ってた
 雑誌記者が悪いだけ」
 
「そうそう、ケイの言うとおり
 気にしない、気にしない」

博臣は、樹にワインを勧め
グラスに注ぐ、そのグラスに
口をつけようとした樹に
千里は、今後の忠告をする。

「そうだ、イッキ、彼女とは
 身辺が落ち着くまでは
 会わない方がいい」

「それなら心配はいらないよ
 追加公演があるから
 当分会えない事は、彼女も
 ちゃんと分かってくれてる」

二人の会話に、何も知らない
朔夜が割って入る。

「ちょっ、ちょっと待って
 イッキ、彼女いるの?」

「うん、言ってなかったよね」

千里と樹は、顔を見合わせて
笑い合う。
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