蜜林檎 *Ⅰ*
「俺もさっき、聞いた
 ところなんだ
 杏ちゃんと付き合う事
 になったらしい」
 
朔夜が、樹を見つめると
彼は微笑する。

「ちょっと待って、イッキ
 彼女、相当、年下だよね
 確か、20歳ぐらいでしょう」

圭司と博臣は、顔を見合わせる

博臣は、樹に問いかける。

「そうだったら犯罪だね
 で、本当は幾つなの?」

「さあ、聞いてない」

「もしかして彼女の事
 何も知らないの?」

樹は一瞬、考えて答えた。 

「連絡番号と、杏って
 名前しか知らない」
   
メンバーが爆笑する、その声は
ホテルの部屋の外まで響いた。

「イッキ、それは
 また思いっきり嵌まったね」

「・・・だね」

追加公演の準備に追われる樹
杏もまた、毎日を忙しく
過ごしていた。
< 156 / 337 >

この作品をシェア

pagetop