蜜林檎 *Ⅰ*
「アンちゃんって幾つなの?」

「22歳」
 
「16歳差は
 さすがに無いでしょう」

あやめは同世代の杏が、樹の
恋愛対照になった事を
心から喜んでくれた。

「うれしいね
 だって、いつもまわりは
 綺麗な、お姉系な人達
 ばっかりだもの」

「アヤメちゃんに
 そう言ってもらえて
 良かった」

杏は、ほっと息をついた。

「アンは気にする事無いんだよ
 イツキがアンを
 選んだんだから」

杏と樹が付き合っている事は
三人だけの秘密になる。

食べ終わった三人、お会計を
済ませていると杏の携帯が鳴り
切れた。

着信履歴を見ると樹からだった

「イツキさんからだ
 
 ちょっとごめん」

店の外に出た杏の携帯が
もう一度鳴り、電話に出た杏は
久しぶりに聞いた樹の声に感動
して胸が震えた。

「俺だけど今、どこ?
 もう、大阪」
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