蜜林檎 *Ⅰ*
「本当なんだね、すごい
 アンちゃんせっかくだから
 逢っておいでよ」

「アン、私たちに遠慮すること
 ないよ
 アヤメちゃんと二人で飲みに
 行ってもいいしね~」

「それ、いい、そうしよう」

杏は、二人の優しさに触れて
二人が憧れている樹と、自分
だけが過ごす事をとても悪い
と思ってしまうのだった。
 
杏の瞳に、涙が溢れた。

「ごめんなさい、せっかく
 ルリやアヤメちゃんと
 過ごせるのに・・・
 
 なんだか悪くて・・・」

「アン、泣かないで
 
 私たちの事は本当に
 気にしなくていいからね
  
 ずっとイツキに
 逢えてないんでしょう
 逢える時間、大切にしなきゃ
 いけないよ」

「うん・・・
 本当、ごめんね」

あやめは、この雰囲気を
変えようと杏に、あるお願い
をするのだった。
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