蜜林檎 *Ⅰ*
瑠璃子が慌ててどこかへ向かう
様子が、樹の視界に映る。
 
瑠璃子の後を追うあやめの姿
・・・
 
樹は、少し胸騒ぎを感じたが
お酒を勧められて、その場を
離れられないでいた。

個室から出た後、手を洗って
いた杏は、気分が悪くなり
その場にしゃがみこんだ。
 
目がクラクラして貧血にも似た
症状、立つ事ができない。
 
体中が火照り、頬も熱く
座っていても込み上げてくる
気分の悪さに、一番上の
シャツのボタンを外した。

「気分わるい
 どうしよう・・・」

そこに居合わせた鏡子が、様子
のおかしい杏に声をかけた。

「アンズちゃん大丈夫
 気分悪いの、吐きそう?」

「アン」

「・・・ルリ」

瑠璃子は、お酒に酔い
気分が悪くなってしまった
為に、動けない杏の背中を
さすってあげる。
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