蜜林檎 *Ⅰ*
「男性の方は、ちょっと
 ・・・困ります」

その声のすぐ後に、ドアが開き
樹の姿がそこにある。
 
化粧室に居た、他の女性達は
樹の登場に驚いている。

樹は女性用の化粧室の中

杏の元へ近寄り

彼女の赤い頬に手を当てた。
 
その冷たい手に

杏はホッとする。

「杏ちゃん、大丈夫?」

「・・・イツキさん」

樹は、胸元が肌蹴て下着が
見えている杏のシャツの
ボタンをサッと留めて
顔色の悪い彼女を
抱きかかえて外へと連れ出す。

樹の事を探しに来ていた
マネージャーの森永は
その場に居合わせ
とても驚いている。
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