蜜林檎 *Ⅰ*
「鏡子さんは
 御礼言わなきゃ・・・」

「さっき、帰られたわよ
 それにアンは、ちゃんと
 何度も御礼言ってたもの
 気にする事ないよ」

従業員室を出ると、打ち上げの
会場には、もうメンバーの姿は
ない。
 
関係者の人やファンの人だけが
残って飲んでいた。

「メンバーは、もうとっくに
 ホテルの方に帰ったわよ」

「本当、ルリやアヤメちゃん
 には迷惑かけちゃった
 ごめんね」

「しかたないよ、料理に
 リキュールが入ってるなんて
 知らなかったんだもの
 
 それに私たちは、十分
 楽しめたわよ」

瑠璃子と並んで歩く杏の元へ
マネージャーの森永が近づく。
 
「アンズちゃん、大丈夫?」

「モリナガさん
 どうもすみませんでした
 ご迷惑をおかけしてしまって」
< 190 / 337 >

この作品をシェア

pagetop