蜜林檎 *Ⅰ*
深夜、眠れない杏は電気を
煌々と着けたまま携帯電話
開いては閉じてを繰り返し
何かを考えている。
 
そして思い切って、樹へと
メールを送信することにした。

樹は眠っているかもしれない。

だけど、どうしても彼の声が

言葉が・・・聞きたい。

聞きたくてしかたがない・・・ 

《ツアーお疲れ様
 
 大阪の打ち上げの時は
 大変、ご迷惑をおかけ
 しました
 
 でも、イツキさんの腕に
 抱きしめられて、私は
 心から安心しました
 
 ありがとう
  
 最近の私は、バイトが
 終わった後、姉の代わりに
 父の仕事を手伝っているの
 で、毎日とても忙しく
 過ごしています
  
 イツキさんは
 いかがお過ごしですか?
 
 また、聞かせてください》
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