蜜林檎 *Ⅰ*
樹の部屋は、シックモダン
なデザインでダーク色で
まとめられ、とても上品で
都会的。
 
洗練されたホテルの一室の
ような空間に、驚きを
隠せない。

「こんな素敵な部屋
 見たこと無い・・・」

樹は子供のように、はしゃぐ
杏を見て微笑む。

「何か飲み物を入れるから
 座って」

リビングのソファーに座る
杏は、綺麗に片付いている
部屋を見渡す。

その中で、テーブルの上に
並んで置かれている

空のお酒の瓶や

飲みかけのグラス

煙草の吸殻を見つけ
 
ここで、樹が生活を
しているのだという
事実を知り

今、その場所に

自分が居る事を

とても嬉しく思うのだった。
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