蜜林檎 *Ⅰ*
「ところで
 お姉さんは病気なの?」

「ううん、妊娠中で・・・」

「そうなんだ
 それは、おめでたいね」

姉が、安定期に入るまでは
父親の仕事を手伝う事を話す。

「一ヶ月ぐらいの事だし
 家族だから助け合わないと
 ・・・」

「家族か~、いいね」

「イツキは、お父さんを
 早くに・・・
 なんだか、ごめんね」

樹は、黙ったままで
首を左右に振る。

「杏が謝る事ないよ・・・
 もう、ずっと昔の話さ
 俺が13歳の頃に
 あっけなくね・・・
 
 それからは、父方の祖父母
 に育てられて今の俺がある
 
 もう二人とも親父のところに
 仲良く行っちゃったけどね」
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