蜜林檎 *Ⅰ*
「ただいま」

杏が玄関先にすわって、ブーツ
を脱いでいると
 
そこにパジャマ姿のナナが
駆け寄って来て抱きつく。

「アンちゃん、遊ぼう」

「ナナ
 いつまで起きてるの?」

ナナを抱き上げて、室内へ
入って行くと、百合は
キッチンで夕食の後片付けを
していた。

「あら、アン、帰ってたの
 おかえり」
 
「ただいま」

「ご飯、ルリちゃんと
 食べてきたんでしょう?」

「うん、ライブの後に
 簡単に済ませた」

杏に抱かれるナナの傍に近寄り
百合は頭をコツンと叩いた。
 
< 21 / 337 >

この作品をシェア

pagetop