蜜林檎 *Ⅰ*
彼女はベッドに座り
キャミソールを着ていた。

昨夜、彼女が脱ぎ捨てた
服を樹は拾い、そっと
杏に渡す。

「ごめん、雑誌の取材が
 ひとつ入ってたんだ
 この間の追加公演の
 インタビューでね
   
 車で送って行くから
 すぐに用意してほしい
 杏は、仕事の方は大丈夫?」

杏は、今日は、もうバイトには
間に合わないので会社に欠勤の
連絡をする。

そして自分一人でも、電車で
帰宅する事は出きる為

樹に、早く現場へ
向かうようにと話した。
 
杏の言葉に、樹は
バツ悪そうに謝るのだった。

「ごめん・・・杏」

「ううん、私の事は
 気にしないで
 
 それより、ほらっ
 急いで着替えなきゃ」
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