蜜林檎 *Ⅰ*
赤い林檎

重なる嘘

結局、お昼をまわって帰って
来た杏は、怒られるのを覚悟
で深呼吸をした後、玄関の扉
を開けた。

「アン、ちょっと・・・」

杏を呼び止める百合の声

二人は、一緒に杏の部屋に
入り話をする。

「お父さん
 怒ってるでしょう?」

「昨日、夜遅くにバイト先から
 急な連絡があって朝早くから
 仕事に行ったって
 そう、お父さんには
 ごまかしてるわ
  
 仕事の内容とか聞かれる
 かもしれないけど
 適当に答えてね」

百合の話では、雅也は昨晩
飲みすぎてお昼を軽く食べた後
二度寝をしているらしい。

「ユリちゃん、ありがとう
 
 いつも
 嘘をつかせてごめんね」

「お店が開く前に一緒に買出し
 に行きましょう
 アン、貴女に、どうしても
 聞きたい話があるの」
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